ヤグレーザー(YAGレーザー)とは?脱毛の効果と美容医療への応用について
公開日:2020年07月06日 更新日:2023年08月07日
美容クリニックで施術に使われるヤグレーザー(YAGレーザー)の名称を、聞いたことがある方は多くおられるのではないでしょうか?
しかし、実際にヤグレーザー(YAGレーザー)とは何なのか、またどのような効果が期待できるのかなどについて、詳しくは知らない方もおられるかもしれません。
この記事では、ヤグレーザー(YAGレーザー)とは何か、そして、どのような施術に応用でき、どのような効果が期待できるのかについて解説します。
この記事を読むことで、ヤグレーザー(YAGレーザー)を用いた医療脱毛や美容医療への理解が深まり、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな事がわかる
- ヤグレーザー(YAGレーザー)とは?その原理は?
- ヤグレーザー(YAGレーザー)の脱毛効果
- ヤグレーザー(YAGレーザー)の美容医療への応用と効果
目次
ヤグレーザー(YAGレーザー)とは?
まずは、ヤグレーザーについて少し詳しくご説明します。
ヤグレーザー(YAGレーザー)とは何か?
ヤグレーザーのYAGとは、イットリウム(Yittrium)とアルミニウム(Aluminum)からなる酸化物からできるガーネット(Garnet)構造の結晶から派生しており、それぞれの頭文字を取ったものです。
YAGレーザーには、Nd:YAGレーザーやEr:YAGレーザーがありますが、これはネオジム(Nd)やエルビウム(Er)などのレアアースを、レーザー活性イオンとしてYAGに添加していることを意味しています。
ヤグレーザー(YAGレーザー)の原理
そもそもレーザーとは、普通の光のように四方八方へ広がるものではなく、定められた方向にほぼ拡散することなく進んでいく特徴があります。また複数の波長の光が含まれている自然光と異なり、単色の波長を持つ特徴もあります。
このような特徴を持つレーザーを作り出すために、分子や原子の持つエネルギーに対する特性が利用されています。
通常原子は外部からのエネルギーを吸収すると、エネルギーの低い状態から高い状態へ移動しますが、この状態(励起状態:れいきじょうたい)は不安定なため、すぐに元の低いエネルギー状態に戻ろうとします。このとき、エネルギー差に相当する光が放出されます。放出された光は、また励起状態にある原子に作用し、さらに光を放出する減少を誘導することが知られています。
このような現象を利用してレーザー光は作られていますが、利用する分子や原子の状態によって、固体、気体、液体によるレーザー光があります。
YAGレーザは、固体によるレーザーです。
例えばYAG結晶にNd(ネオジム)を添加した結晶体に、強い光を照射して励起状態を誘発することで得られるレーザー光がNd:YAGレーザーです。
ヤグレーザー(YAGレーザー)の応用範囲とその効果
では次に、ヤグレーザー(YAGレーザー)が主に美容医療のどのような分野に応用されているのかについてご説明します。
なお医療に用いるYAGレーザーには、主にNd:YAGレーザーとEr:YAGレーザーの2つのタイプがあります。またNd:YAGレーザーには、Qスイッチ、ロングパルス、ピコ秒の3つのモードがあります。
レーザー脱毛への応用とその効果
脱毛に応用されるYAGレーザーには、主にNd:YAGレーザーです。
Nd:YAGレーザーのなかでも、特にロングパルスモードは、他のタイプの脱毛機器では効果が出にくいと言われていて、皮膚の色が褐色の方や毛が非常に粗くて黒い方の脱毛にも効果が認められており、広く使用されています。波長が長いため、皮膚の深いところに作用させることができるからです。
またNd:YAGレーザーは「色素にやさしい」と言われており、傷跡や火傷(やけど)、治療後の皮膚の変色などの副作用を起こすことなく、ムダ毛を除去する最も効果的で安全な方法だと言われています。
美容医療への応用とその効果
皮膚の問題を解決するために、YAGレーザーは多くの皮膚科や形成外科で使われています。
Nd:YAGレーザーは、医学の分野でも利用されています。
例えば皮膚がんの除去、前立腺肥大症の治療などに使用されています。また、Nd:YAGレーザーは白内障の手術にも使用されています。白内障手術の最も一般的な合併症である、後嚢白濁(こうのうはくだく)と呼ばれる水晶体の肥厚や濁りの治療によく用いられます。
美容医療の分野では、Nd:YAGレーザーは、顔や足のクモ状静脈のような小さな血管障害や静脈瘤の治療にも使用されています。Nd:YAGレーザーは、コラーゲンの生成を促進し、シワの見た目を改善するために、皮膚を優しく治療することができます。
ちなみにNd:YAGレーザーのQスイッチモードでは、非常に短いエネルギーを発生させるため、大量のパワーを得ることができます。
タトゥー除去の場合、このピークパワーは、周囲の皮膚を傷つけることなく、最も頑固なインクの色(ピコ秒モードでは緑色が効果的)を分解するのに役立ちます。
Er:YAGレーザーも医療行為に広く利用されています。
特にEr:YAGレーザーは、水によく吸収される特徴があるため、組織に深くレーザーのエネルギーを浸透させたくないときに利用されています。周囲の皮膚へのダメージを最小限に抑えながら、治療対象となる組織を特定して正確に除去できます。
例えばEr:YAGレーザーは、主に皮膚表面の治療に使用されていますが、その例として、ニキビ跡、深いシワやシミ、肝斑などの治療が挙げられます。なお治癒の際に形成される新しい皮膚細胞は、肌を引き締め、若々しい肌を作り出しますので、美肌効果に優れています。
またEr:YAGレーザーは、骨の組織であるハイドロキシアパタイトにも吸収されるため、骨の切断にも適したレーザーです。
【まとめ】ヤグレーザー(YAGレーザー)とは?脱毛の効果と美容医療への応用について
ヤグレーザー(YAGレーザー)の原理や脱毛効果、美容医療における効果について解説しました。
この記事では、下記のようなことがわかったのではないでしょうか。
この記事のポイント
- ヤグレーザー(YAGレーザー)は、YAG結晶にネオジムなどのレアアースを添加した結晶体に強い光を照射して励起状態を誘発して得る波長
- 医療に用いられるヤグレーザー(YAGレーザー)はNd:YAGレーザーとEr:YAGレーザーがある
- 脱毛に応用されるのはNd:YAGレーザーのロングパルスモード
- ヤグレーザー(YAGレーザー)は皮膚のメラニン色素が濃くても脱毛できる
- 波長が長く、脱毛による火傷や皮膚の変色などの副作用を起こしにくい
- Nd:YAGレーザーは皮膚がんの除去・前立腺肥大症・白内障などの治療に利用される
- 美容医療におけるNd:YAGレーザーは、血管障害や静脈瘤の治療に使われ、コラーゲンの生成を促進する
- Er:YAGレーザーはニキビ跡、肝斑などの皮膚表面の治療に使われ、美肌効果が高い
ヤグレーザー(YAGレーザー)を用いた施術は医療行為ですので、クリニックでしか使用することができません。患者様の肌質や毛質によって最適なレーザーは異なり、必ずしもヤグレーザーが適しているとは限りません。
トイトイトイクリニックでは、医療レーザー脱毛で用いられる3波長のうち、日本人の肌質に最適な中間の波長である「ダイオードレーザー」を搭載した医療脱毛を提供しております。脱毛で使われるレーザーについて、疑問やご不安などありましたら、カウンセリングにて専門のスタッフにご相談ください。