
医療脱毛ではレーザー脱毛機を使って施術を行います。ですがひとくちにレーザー脱毛機といっても、用いるレーザーの種類によって特徴はさまざまです。採用しているレーザーが違うだけで、痛みの強さや脱毛の効果が変わります。
数あるレーザーのうち、ここではYAGレーザーの仕組みや特徴、メリットやデメリットなどをご紹介します。
目次
YAGレーザー(ヤグレーザー)とは
YAGレーザーは、肌の色に関係なく使いやすいことで知られている比較的新しいレーザー脱毛機にも採用されています。他のレーザーと比べると波長が1064nmと長いため、肌の奥までレーザーが届くようになっています。
YAGレーザーで脱毛できる仕組み
YAGレーザーは、毛根にレーザーの熱を集中させることで毛根を破壊する脱毛です。毛根には髪の毛の成長に必要な栄養素を供給する毛乳頭や、細胞分裂をすることでムダ毛を成長させる毛母細胞など、ムダ毛の成長に欠かせない組織が存在します。
YAGレーザーで脱毛できるのは、レーザーを当てることで毛根を破壊し、毛乳頭や毛母細胞の働きを失わせることができるためです。
YAGレーザーと他のレーザーとの違い
レーザー脱毛に用いるレーザーには、YAGレーザーの他にダイオードレーザーやアレキサンドライトレーザーがあります。ダイオードレーザーやアレキサンドライトレーザーも同様に、毛根を破壊することで脱毛効果を発揮するものです。
そして、ダイオードレーザーには熱破壊式のものと蓄熱式のものとがあり、蓄熱式は毛根ではなくバルジ領域をターゲットして脱毛効果を得ます。蓄熱式を除くと効果を発揮する仕組みはどれも同じですが、特徴がやや異なります。
YAGレーザー | ダイオードレーザー | アレキサンドライトレーザー | |
---|---|---|---|
波長 | 1064nm | 810nm | 755nm |
このようにダイオードレーザーやアレキサンドライトレーザーでは、YAGレーザーよりも波長が短くなっています。波長が短いほど皮膚の表面に、長いほど皮膚の奥へ届きます。
皮膚の表面に影響しやすいものほど、肌のメラニン色素に反応しやすくなるため日焼け肌では使いづらくなります。そのため3つのレーザーのうち、もっとも波長が短いアレキサンドライトレーザーは、基本的に日焼け肌には使用しません。
YAGレーザーの特徴
YAGレーザーには、主に次のような特徴があります。
- 色素沈着がある部位も脱毛できる
- 濃い毛に効果を発揮しやすい
では、それぞれの特徴について詳しく見てきましょう。
色素沈着がある部位も脱毛できる
多くのレーザーは、色素沈着があったり日焼けしていたりすると脱毛できません。レーザーはメラニン色素に反応する性質があるので、色素沈着や日焼けによって肌のメラニン色素が増えていると、レーザーがムダ毛だけではなく肌にも反応してしまうからです。
しかしYAGレーザーは、他のレーザーと比べると波長が長いため肌に影響を及ぼしにくくなっています。そのため、症状の程度にもよりますが、色素沈着があったり日焼けしていたりしても脱毛できる場合があります。
濃い毛に効果を発揮しやすい
YAGレーザーは、1064nmと長い波長を持っています。波長が長いほど皮膚の深いところまで到達するため、ムダ毛の根元から効率よく脱毛することが可能です。そのため濃いムダ毛もしっかりと脱毛できます。
VIOや脇の脱毛がとくに効果的です。男性のヒゲ脱毛にも向いています。
YAGレーザーのメリット・デメリット
YAGレーザーは、肌の色や毛質を気にすることなく脱毛できることがメリットです。しかしメリットだけでなく、デメリットもあります。
どのようなメリットやデメリットがあるのかをみていきましょう。
YAGレーザーのメリット
- 肌の色に関係なく脱毛できる※症状や程度によります。
- 産毛にも効果が期待できる
- 副次的に美肌効果も期待できる
YAGレーザーは肌の奥に働きかけるため、肌の表面にはあまり影響を与えません。そのため、適応範囲は限られますが、日焼けや色素沈着で肌の色が黒くなっていてもYAGレーザーなら脱毛が可能とされています。
またYAGレーザーは、脱毛効果が高いことも特徴です。ムダ毛の奥まで働いて濃い毛まで脱毛してくれることはもちろん、顔やお腹などの産毛にもしっかりと効果を発揮してくれます。
この他に、美肌効果があるのも魅力です。YAGレーザーは脱毛のためだけではなく、実はニキビやシミの治療としても使われています。新陳代謝を促進してターンオーバーを促してくれるので、美肌効果も期待できます。
YAGレーザーのデメリット
- 痛みがやや強い
- 施術後の肌トラブルが起きやすい
- 導入しているクリニックがまだ少ない
濃い毛にも産毛にも効果を発揮してくれるYAGレーザーはとても使いやすい反面、照射時の痛みはゼロではありません。この痛みは熱破壊式脱毛の特徴のひとつで、YAGレーザーに限ったことではありません。また、痛みはVIOや脇のように毛が濃い部位によるところも大きいです。
YAGレーザーによる脱毛は、比較的まだ新しい脱毛機器ということもあり、取り扱っているクリニックもそこまで多くなく、症例も他のレーザーに比べると少ないのが現状です。
医療脱毛のレーザー比較まとめ
では最後に、クリニックで広く使われているダイオードレーザーとYAGレーザーを比べてみましょう。
YAGレーザーは、日焼け肌にも使えて産毛に効果があることから使いやすいレーザーではあるものの、やや痛みが出やすいことが特徴です。一方でダイオードレーザーは、同じように日焼け肌に使え、産毛の脱毛ができるスペックでありながら、痛みは最小限に抑えられています。
YAGレーザー | ダイオードレーザー | |
---|---|---|
代表的な機器の名称 | ジェントルヤグ | ライトシェア・デュエット |
波長の長さ | 1064nm | 810nm |
痛み | やや強い | 普通 |
日焼け肌でも使えるか | 可能※症状の程度による | 可能※症状の程度による |
産毛も脱毛できるか | 可能 | 可能 |
特徴 | ・レーザーの中でも痛みがやや強い ・美肌効果が期待できる ・照射口が小さめなので、施術に時間がかかる |
・照射口が広いため、短時間で施術が終わる ・他のレーザーと比べると痛みが少ない ・肌色に関係なく脱毛できる |